ご挨拶
最近の社会構造の変化は、目まぐるしいものがあります。TPPをはじめとして、貿易はどんどん自由化の方向に進み、日本の農業・水産業・林業の置かれている状況は、とても厳しいものがあります。耕作放棄地の問題なども、地方の過疎化の進行に伴い、ますます大きくなる兆しが止まりません。福島原発の事故では、風評被害で大きな痛手を被りました。
一方で、日本の農産物が高値で取引をされるケースが見受けられるように、日本産の品物に対する評価は高いものがあります。外国人観光客が多く来日し、日本の良さを感じて帰国される方が増えるに伴い、海外での日本食などもひと昔前に比べて大変な人気となっています。日本食が食べられるようになるということは、日本の食材のニーズが高まるということです。
このように、日本の農業・水産業・林業は厳しい状態に置かれている半面、注目の産業でもあるという、まさにどちらにも転びうる場面にあるといえます。こういった状態の時には、きちんとした知見と戦略をもって対処できるかどうかが、悪い方向に陥るか、成長路線に乗れるかの大きな境目であります。
当農林産業研究所は、昭和17年(1942年)に設立された、歴史ある財団法人です。この長い歴史をもって、その時代にあった社会貢献活動を行ってまいりました。しかし、その長い歴史を鑑みても、今は最も変革を求められる時代であります。農業の6次化や、地方創生を言われる今、財団に求められる大きな役目の一つは、産業に携わる方々、ひいてはその地方自体を、成長路線に乗せるお手伝いをさせていただくという役割が発生してきています。
今、この時代に、財団法人としての責務をきちんと果たすべく、しっかりと活動してまいります。